「クライミング上達のための目標設定」の記事でも書いた通り、私の課題は「回復力」「持久力」「フィジカル」の3点。
その中で、最初に取り組むべきなのが、すべてのトレーニングの基礎となる「回復力」のトレーニングです。
そこで今回、回復力を鍛える「ローカル・エンデュランス」というトレーニング方法を約2週間実践してみました。
この記事では、回復力を高める意義や効果について、ローカル・エンデュランスに行う際に注意するポイントや難しい点、続けるコツなどをご紹介していきたいと思います。
回復力を鍛える意味と効果
ここで言う回復力とは…
- 30分程度のレストで前腕の張りが取れる
- 身体の疲労回復が早くなる
疲れやすいアラサーには必要な能力ね~
回復力を高めると、リードの限界グレードをトライしてパンパンに腕が張っても、30分も休憩したら再トライできるようになったり、トレーニング翌日の疲れが比較的抜けやすくなったりする効果があります。
ローカル・エンデュランスとは
参考にしたのは、クライミングジム大手のPUMPを運営するフロンティアスピリッツとその代表の内藤直也さんが編集・発行する「クライマーズ・バイブル」という本です。
この本の中で紹介されている、回復力を高めるトレーニングが「ローカル・エンデュランス」です。
基本的に低負荷×高回数(長時間)で行います。
ジョギングのクライミングバージョンとイメージしていただけばOKです。
弱い負荷を長時間筋肉に与えることで、筋肉内の毛細血管の密度を発達させます。
毛細血管が発達すると、運動が始まると筋肉の隅々まで酸素を運んで疲労物質を取り除いてくれます。
逆に、毛細血管が発達していないと疲労の回復が遅く、ケガをしやすくなったり、トレーニングや大会などで本来の力を出せないんです。
言わば基本の「き」ってやつだね!
そうそう。
だから、故障明けやシーズン初期におススメだよ!
ローカル・エンデュランスのやり方
ローカル・エンデュランスのやり方は非常にシンプル。
ルールは以下の通りです。
私は6級以下の課題をクライムダウンありで30分×2セットやったり、お客さんがほとんどいない時は、延々とトラバースしています。
セット中はレストせず登り続けて、どうしても壁が埋まっていたらスクワットなどをしています。
レストをなるべくしないように、腰につけるタイプのチョークバッグがオススメだよ!
ちなみに、本ではトップロープを推奨していましたが、環境やビレイパートナーの確保が難しいので、私はやったことがありません。
期間と頻度
ローカル・エンデュランスだけを行う期間は2週間~1か月で、その後も週に1~2回は取り入れるのがおススメです
頻度は週4~7回が理想とされています。
ちなみに私は週3回が限界です(笑)
ローカル・エンデュランスを2週間実践
自宅からジムまで約1時間かかるため週3回、計5回が限界でした。
- 8月5日ボルダリング(8~6級) 30分×2
- 8月7日トレーニングはしていますが、ローカル・エンデュランスはせず
- 8月10日ボルダリング(7~5級) 25分
- 8月12日ボルダリング(8~6級) 30分×2
- 8月14日ボルダリング(7~6級) 30分、7分
後半疲れてフォームが乱れ、膝に痛みが出たため中断。
- 8月17日ボルダリング(8~6級) 30分
8月末にコンペがあったため、いったんローカル・エンデュランスだけのトレーニングから離れ、コンペに向けた筋力アップ&実践的なトレーニングをしていきました。
現在はコンペが終わったので、またローカル・エンデュランスを取り入れたいと思っています。
疲れ方、体の反応
ローカル・エンデュランスに慣れていなかったころは、最初の5分は息が上がり、きつさを感じました。
最近は最初の方の息が上がる辛さに慣れてきたのもありますが、普通に15分経って疲れてきたぐらいが一番きついです。(笑)
また、私はクライミングをしていて滝のように汗をかくことがあまりなかったのですが、ローカル・エンデュランスはとにかく汗が出ます。
髪の毛が濡れるくらいには出ます。
まさに有酸素運動って感じ!
疲れ方については、トレーニング直後と翌朝は軽くダルさを感じますが、筋肉痛はなく、午後には元気になっています。
この手のトレーニングの効果は数か月後でなければ分からないのかな?と思いますが、先日久しぶりに5.11bをオンサイト出来ました。
トレーニング効果というよりは、長物に慣れたおかげでリードの時に無駄な力が入る感じがなくなってきたように思います。
ローカル・エンデュランスの難しさ
強くはならない
ローカル・エンデュランスはトレーニングの基礎部分。
筋力を強化したり、高グレードを登るためのトレーニングではありません。
あくまでも「回復しやすい体づくり」「怪我をしにくくするための土台づくり」なんです。
とても大事な作業だけど、フラストレーションがたまる人も多いと思います。
割り切って行う精神力が必要です。
混んでいると出来ない
クライマーズ・バイブルではトップロープを推奨していましたが、30分連続でビレイをしてくれる人を探すのは難しいです。
オートビレイ器があるジムに通う人はぜひトップロープで実践してみてください。
ほとんどの人にとって現実的なのは、ボルダリングで低グレードを登り下りする方法だと思います。
私の場合は、8~6級の課題を10~15本用意し、ひたすら空いている壁を見つけて登り下りしていました。
低グレードばかり登るので、混んでいるときや初心者の人が多いときはやりにくいです。
課題に飽きる
ひたすら8~6級を登り続けるので、毎回同じ課題を登ることになるので、面白くはないですよね(笑)
私は同じことを続けるのがそんなに苦ではないので、飽きずにできています。
簡単なグレードなので、毎回しっかりフォームを意識して登っているのですが、前よりきれいに登れると少しテンションが上がります。
高グレードを登りたくなる
周りで高グレードを楽しそうにワイワイやっている中、黙々と低グレードを登り続けるのは難しいです。
特に仲のいい常連さんがセッションをしていたら、すごく参加したくなります。
誘惑をグッと堪えるのも慣れが必要です。
手指のマメ
個人的に難しさのトップは手指がめちゃめちゃ痛くなること。
初日や2日目くらいはどうってことないのですが、だんだんと指の皮が摩耗し、マメがつぶれていき、最後の方はすごく痛かったです。
今までは指先の皮が硬くなっていましたが、ガバばかり持つので、第2関節の下や手のひらにマメができます。
最後の方は指にテーピングぐるぐる巻きで登っていました。
続けるコツ
仲間とやる
ローカル・エンデュランスをする仲間がいれば、トップロープのビレイをし合えるのが良いところ。
ボルダリングでも、仲間がいることで孤独感がなく、セッションの誘惑にも耐えられますよね。
また、正しいフォームで登れているかチェックしてもらったり、仲間がいると良いこと尽くしです。
フォームを意識する
低グレードを「こなす」のではなく、1手1手フォームを意識します。
腰は反ったり丸まったりしていないか、足の力を上半身に伝えられているか、脇が締まっているかなど確認しながらゆっくり登ることで同じ課題でも飽きずに登り続けることができます。
まとめ:ローカル・エンデュランスはすべてのトレーニングの基礎
社会人になってからクライミングを趣味で始めた人は、トレーニングよりも楽しさを優先し、私のように限界グレードばかり登ってしまう人が多いのではないでしょうか?
楽しむことはもちろん大切ですが、強くなりたいと思うならトレーニングも重要です。
ローカル・エンデュランスはトレーニングをするための土台を作る作業。
社会人クライマーにとって、平日登って翌日も働くためには基礎体力がすごく大事ですから、強くなりたい人だけじゃなく、疲れやすい人にもおすすめのトレーニングです。
地道なトレーニングなので飽きてしまったり、誘惑に負けてしまうこともあると思いますが、仲間をつくったり、フォームを意識したりして2週間~1か月は続けられるように頑張りましょうね~!
私も仲間募集中です!
一緒にがんばろ~!!!
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