ダイエットに潜むリスク アスリート必見!痩せすぎ、生理不順…あなたの減量、本当に大丈夫?

クライミング

クライミングをしていると体重がとっても憎くなる瞬間ってありますよね。

カチに食い込む指、重い体、パンプする前腕…

きゃりー
きゃりー

ああ、もっと痩せれていればよかった!!!!!

私もダイエットに挑戦したことがあります。

身長164.5㎝で体重は1番軽い時で51kg台。

BMIでは普通体重なので、この数字を見てめちゃめちゃ軽いとは思わないかもしれませんが、
普段の体重が54~55kgの私からするとかなり減量したんです。

減量が成功すると体が軽くて、とても楽に登れる気がしますよね。

その一方で、減量はものすごくリスクがあるということもしっかり覚えておかなければなりません。

クライマーはプロアマ問わずストイックな人が多いので、ぜひ読んでもらいたいです!

この記事がおススメの方
  • クライマー
  • ダイエットしている人
  • 生理不順の人
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まずは意識チェック!

□最近急に体重が減った
□最近疲れやすい
□痩せているほどパフォーマンスがいい
□毎日3食食べなかったり、主食を抜くことが多い
□疲労骨折したことがある
□BMIは18以下だけどまだ痩せたい
□自分の月経周期が分からない
□生理なんてなくていい
□女性アスリートが必要な栄養について知らない

もし1つでもチェックが付いたら注意!

自分の体をしっかり知って、体重管理していきましょう。

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減量のリスク

Image by Vidmir Raic from Pixabay

トレーニングが非効率になる

食事制限は必要な栄養素まで欠いてしまうことで、疲労から上手く回復出来なかったり、筋量の低下を引き起こす恐れがあります。

また、空腹状態が続くと脳が『飢餓状態』と認識して脂肪を貯めこみやすくなってしまいます。

一定以上の空腹状態が続くと、体は筋肉を分解しエネルギーとして使い始めてしまいます。また脳が飢餓状態と認識してしまうため、脂肪を貯めこみやすい体質に変化します。

減量中のアスリートへ、食事の選び方と摂り方 | POWER PRODUCTION MAGAZINE(パワープロダクションマガジン) (glico.jp)

せっかくトレーニングしても、筋力が落ちたり、脂肪を貯めこみやすい体になってしまっては元も子もありませんよね?

減量中でも欠食せず、バランスよく3食しっかり食べることが大事になります。

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女性アスリートの健康リスク:エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症

アメリカスポーツ医学会が定義した女性アスリートに特に多い健康問題のことを「女性アスリートの三主徴」と呼びます。それが以下の3つ。

  • エネルギー不足
  • 無月経
  • 骨粗鬆症

この3つのうち、1つでもあると疲労骨折リスクが2.4~4.9倍になります。

ちなみに3つすべて認められる場合は6.8倍!!

がっつりトレーニングしているだけに、めっちゃ怖いですよね。

エネルギー不足

エネルギー不足かどうか判断するには、以下の計算をします。

(食事からの摂取カロリー)ー(運動などによる消費カロリー)<除脂肪体重(kg)×30kcal

ちなみに、適正な利用可能エネルギーは以下の通り。

(食事からの摂取カロリー)ー(運動などによる消費カロリー)≧除脂肪体重(kg)×45kcal

イメージはこんな感じ↑

私の場合除脂肪体重が43kgくらいでなので、消費カロリーが0(オフ日)でも43×45=1935kcal以上は摂取しなければいけませんし、43×30=1290kcalだとエネルギー不足になります。

クライミングをする日は、私くらいの緩いトレーニングでも1時間当たり+230kcal以上は食べなければいけません。

体重54㎏の場合
体操(腹筋、腕立て伏せ等ほどほどの労力)215.5kcal
サーキットトレーニング 243.8kcal

参考:手帳のおまけ『健康管理 運動消費カロリー』


ちなみに、以下の1~3に当てはまる場合もエネルギー不足の状態がうかがわれます。

  1. 成人していて体重がBMI17.5以下
  2. 思春期で体重が標準体重の85%以下
  3. 1か月以内に体重の10%以上減量した

激しいトレーニングを続けながら食事制限をすると、トレーニングの強度が落ちる、疲労が回復しないという問題を引き起こします。

行き過ぎた食事制限は「拒食症」や「過食症」などの摂食障害になったり、体力が落ちて合併症を引き起こしたり、普通の生活すらままならない状態になりますので、本当に注意してください!

エネルギー不足状態が続くと…無月経に

エネルギー不足の状態が長く続くと、排卵を促す黄体化ホルモンの周期的分泌が抑制され「無月経」になります。

無月経とは、これまで来ていた生理が3か月止まっている状態、また18歳になっても初経が来ない状態

きゃりー
きゃりー

無月経の場合は早めに婦人科を受診しましょう

無月経の原因は必ずしもエネルギー不足とは限りませんが、まずは医療機関を受診することが適切な治療につながります。

また、生理痛がひどい人や、15歳になっても初経が来ていない人、高校生になっても月経不順という場合も受診がおすすめです。

ちなみに私は、1か月2~3kg(体重の5%ほど)減量したら生理不順になったことがあります。

きゃりー
きゃりー

平常32日周期が23日になったよ!

これ以上急激なダイエットをする人は、体にもっと影響を及ぼす可能性があるということを理解しておきましょう。

無月経になると…疲労骨折・骨粗鬆症のリスク↑

お腹は痛いし、眠くなるし、生理なんて来ない方が楽じゃん!

気持ちはすごくわかります…生理って毎月来るし、すごく煩わしいですよね。

でも、女性だったら当たり前に来るはずの生理が来ないって大変なことなんです!

月経異常がある場合、月経が正常な周期の人と比べて疲労骨折や将来の骨粗鬆症の発症率が高まります。

疲労骨折は特にジュニアアスリートに多く見られるので、コーチや親御さんは注意してくださいね。

食事を見直そう

Image by RitaE from Pixabay

運動中の主なエネルギー源を知っていますか?

血中のグルコース(血糖)と筋肉や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンです。

これはどちらも「糖」なんです。

これらが不足すると空腹感や疲労感が強くなり、集中力も落ちやすくなってしまう上にて、運動時の筋肉の分解も多くなります。

炭水化物を食べよう!

巷では「低糖質ダイエット」が流行っており、取り入れているクライマーは要注意です!

クライミングのように激しい運動を日常的にするクライマーが極端に糖質を制限するとエネルギー不足を引き起こしてしまいます

もちろんパフォーマンスも低下し、せっかく付けた筋肉も分解されてしまうので、
まずは炭水化物、特にお米をしっかり食べるようにしましょう!

お米はパンやパスタと違い、バターや油を使わなくてもおいしく食べられるのでおススメです。

きゃりー
きゃりー

しかも、お米のでんぷんは軟便や便秘の改善にも効果があるんですよ!

食事で疲労骨折を予防しよう!

骨は毎日、組織を新しく作り替えながらその強度を維持しています。

そのために必要なカルシウムやミネラル、タンパク質、ビタミンC・D・Kをきちんと取りましょう。

カルシウム

カルシウムは日本人の食習慣では最も不足しがちな栄養素の一つと言われています。

カルシウムは小魚や乳製品に多く、小松菜などの緑黄色野菜にも豊富に含まれているものがあります。

一方、カフェインやリン、食塩によって排出される分が増えてしまうので注意しましょう。(リンは食品添加物として炭酸飲料・加工食品に含まれます)

きゃりー
きゃりー

私は毎日牛乳を飲んだり、シラスを食べるようにしています!

タンパク質

タンパク質は、骨や筋肉などを構成するもののほか、酸素を運んだり、免疫機能を司って体を守ったりするものがあります。

筋肉の源!と思って積極的に食べている人も多いですよね!

タンパク質は20種類のアミノ酸で合成されており、そのうち必ず食物から摂取しなければいけないものを『必須アミノ酸』と言います。

必須アミノ酸は1つでも摂取量が少ないものがあると、それに合わせてタンパク質の質が低下します。つまり、必須アミノ酸が全部十分にそろっていることが大事ということ。

おススメはいろんな食品からタンパク質を摂取すること!

必須アミノ酸を補い合えるし、タンパク質以外の栄養素(ビタミンとか)もいろいろ摂れますしね!

きゃりー
きゃりー

納豆ご飯に卵焼きとか、いいよね!

ビタミン

ビタミンDはカルシウムの消化にかかわったり、骨代謝の調整もする栄養素。

魚や卵、乳製品に含まれます。紫外線を浴びることで合成することもできます。

最近は日焼け止めをばっちり塗って紫外線ケアをする人が多いですが、顔だけはしっかり塗って、体は紫外線を受け止めるとかでもいいかもしれません。

SPF30の日焼け止めを塗ると皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちてしまうので、あまり紫外線ケアをやり過ぎると実はビタミンDの産生が足りなくなってしまいます。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を高める作用を持っているため、足りなくなると血中のカルシウムが足りなくなり骨からカルシウムが溶け出して骨が弱くなってしまいます。

紫外線とビタミンD – 恵比寿駅前皮膚科 (ebisu-ehifuka.com)

ビタミンCはタンパク質と一緒に骨のしなやかさを保つコラーゲンを構成します。

免疫力や抗酸化活性もあるので、クライマーやアスリートは一般の人よりも意識して摂取しましょう!

女性は「鉄」も取り入れよう

女性は月経があるので1日に2.0~3.0㎎、アスリートはその2倍の鉄が必要と言われています。

鉄は赤身のお肉屋レバー、小魚や貝類に多く含まれています。

食事から摂取するのがおススメですが、十分な量を摂られない人はサプリメントを利用しても良いかもしれません。ただ、大量摂取すると胃炎や下痢になったりすることがあるので注意しましょう。

減量する場合は、余分な脂質を減らそう

極端な食事制限は必要なミネラルやビタミンまで不足させてしまうのでおススメしません。

減量期間は余裕をもって設定し、緩やかに減らしていきましょう。

きゃりー
きゃりー

例えば、こんな風にするとカロリーを抑えることができます。

・調理方法:揚げる、炒める→蒸す、煮る、グリル
・味付け:クリーム系→和風
・食材:脂身の多い肉→赤身肉、魚
    牛乳→低脂肪乳

お菓子類は食べないか、脂質やカロリーの低いものを選び、食事は3食バランスよく食べましょう

脂質も普段は極端に制限しない!

油は脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促しますし、不足すると疲れやすくなったり抵抗力が低下したりする可能性があるので、普段は極端に制限しすぎないでください。

植物油や魚の脂に多い不飽和脂肪酸には血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあります。

逆に、お肉の脂に多い飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを増加させるので取り過ぎに注意してくださいね。

皮下脂肪や脂質の摂取量が極端に少ないアスリートに油を摂取するように指導すると、故障が少なくなりました。脂肪は、刺激や衝撃が直接筋肉に伝わらないようクッションの役割も果たしているのではないかと考えています

鈴木志保子「極限に挑むアスリートを支える「スポーツ栄養」」『ヘルシスト vol.260』(2020年3月10日発行)
きゃりー
きゃりー

お魚の脂のDHAやEPAは炎症を抑えたり、疲労を回復効させる効果があるそうです!

まとめ:ベストな体を作ろう

Image by Carly Head from Pixabay

女性に限らず、極端な減量をすると低血糖になって倒れたり、免疫力が低下して感染症にかかるリスクもあります。昨今のコロナ禍では本当に危険ですよね。

冬のクライミングシーズンに向けて減量に取り組むクライマーも多いと思いますが、食事制限はトレーニングの効率を落としてしまうどころか、健康問題を起こしてしまうリスクがあるということをきちんと覚えておいてください。

食事を適切にとることもトレーニングと同じくらい大事に思ってもらえると嬉しいです!

食事からしっかり栄養を取って「ベストな体」で登りましょう!

参考文献

日本スポーツ協会『リファレンスブック第2刷』日本印刷,2019.12.2.

ATHTRITION「無理な減量は厳禁!女性アスリートが陥りやすい3症状と食事の注意点 (athtrition.com)」(最終閲覧日2021.10.3)

ATHTRITION「【管理栄養士監修】アスリートに必要な食事量は?摂取カロリーの計算方法 (athtrition.com)」(最終閲覧日2021.10.3)

スポーツにEPA。アスリートも注目! | 知られざるEPAのパワー | サラサラ生活向上委員会 | ニッスイ (sara2.jp) (最終閲覧日2021.10.4)

読む栄養補給 NU+(ニュータス) by 日本栄養士会 (nutas.jp)(最終閲覧日2021.10.4)

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